大会長 要 匡
国立成育医療研究センター
ゲノム医療研究部
このたび、Rare Disease Day(世界希少・難治性疾患の日)を含む、2020年2月28日(金)、29日(土)の2日間、第42回日本小児遺伝学会学術集会を沖縄(那覇)にて開催させていただくことになりました。沖縄での開催は、今回が初めてとなります。穏やかな気候の南の地で、過去の大会と同様に、熱く有意義な学会運営をめざして事務局一同、鋭意準備を進めております。
日本小児遺伝学会は、1978年、染色体異常症や先天的な形態異常を伴う遺伝性疾患を対象とする小児遺伝医学研究会として始まり、1999年より日本小児遺伝学会と名称を変更し、現在に至っております。いずれの時代も染色体異常や形態異常を伴う先天異常疾患の子どもたちの臨床ならびに研究に従事する小児科医や医療従事者、研究者の貴重な情報交換の場としてその役割を果たして参りました。
遺伝学は、以前は希少疾患といった、よくわからない疾患を扱う特殊な分野という印象を持たれていました。しかしながら、近年の次世代シーケンサ等の新型機器の登場と遺伝学的解析技術の飛躍的な進歩により、さまざまな小児の希少疾患等の原因が次々に解明され、診断などにも活用されてくるようになりました。また、日常的に診察する多くの疾患などにおいても遺伝学的な背景、ゲノムの関与が明らかになってきています。研究においては、解明された原因を起点とした多方面にわたる治療薬の開発(ゲノム創薬)も行われつつあります。
加えて、最近、さまざまな疾患の診断や治療薬開発に人工知能を活用する動きも急速な広がりを見せています。世界的な潮流は、医学・医療に携わる全ての方々に遺伝学的な理解やゲノム情報、人工知能の活用が求められる『新型ゲノム医療』の時代へと進みつつあります。特に、希少疾患の約75%は小児疾患であり、小児遺伝に関わる方々はまさにその先頭に立っていると言えます。
これらを鑑み、今回、テーマを、
『小児遺伝が拓くゲノム医療 - ゲノム情報、人工知能を活用する医療へ -』と致しました。
遺伝学を専門とする小児科医、総合小児科医、医療従事者、研究者が一同に会し、小児を起点としたゲノム医療の発展への契機となることを願い、学術集会を開催させていただきます。沖縄ならではの企画も予定しております。小規模な部による運営のため至らない点も多くあると存じますが、皆様の自由で積極的な参加・議論により実りある会となるよう期待しております。
末筆になりますが、今回の学術集会の開催にあたり、非常に多くの方々にあたたかいご支援とご協力をいただきました。心より感謝申し上げます。